PAOに標準搭載されているエンジンはマッチのマーチで有名な初代マーチ(K10型)の廉価モデルと同様のMA10S型エンジンです。MA10S型エンジンは省資源を徹底的に追求し、燃費性能向上、小型軽量化を図り、同時に高性能、静粛性、信頼性を追求した小型エンジンだそうです。(←カタログの謳い文句) 当時の1リッタークラスでは唯一の4気筒エンジンであり、またオールアルミの超軽量エンジンでもありました。(整備重量はなんと69kg!)
 しかし、MA10Sエンジンの登場から25年以上が経過した現在では、キャブレターによる扱いにくさ、非力感などは否めません。(例えばAT車の場合、高速道路の上り坂では2速に入れないと100km/hが保てない) さらに、13万km以上を走破して、MA10Sの弱点、キャブの不調に泣かされていました。

 2002年1月、新車購入時より密かに構想を暖めていた、MA09ERT型エンジンへの換装(エンジンスワップ)計画を遂に決行しました。
 このMA09ERTというエンジンはK10型マーチをベースとし、モータースポーツを行うために開発されたRというグレードに搭載されたもので、スーパーチャージャーとターボチャージャーを直列に装備し、大幅なパフォーマンスアップを図ったものです。930ccのエンジンからはじつにネット110PS/13.5kg-mを発生し、930ccという排気量は国際ラリーのターボ係数1.7を掛けても1600ccクラスまでに収まるということを意図してMA10エンジンのボアを縮小したものでした。 スーパーチャージャーとターボーチャージャーのダブル過給(ツインチャージャー)システムは、現代でこそフォルクスワーゲンのTSIなどに例が見られますが、当時は特殊な車(ランチア デルタS4)を除いては、市販車では初のものでした。

 換装にあたっては、エンジンをはじめ補機類、トランスミッション、ラジエター、ECU、ハーネスなど多くの部品を揃えなければならず、時間や費用の面で難航することが予想されました。必要な部品を新品で買い集めるとなると、高級車が一台買えてしまう程の金額になることから、管理人は部品取りのためのEK10マーチ(マーチ スーパーターボ)を1台丸ごと購入するという方法を選択。換装作業は信じられないことに、新車時からお世話になっているPAOの担当ディーラーである日産レッドステージが公認を取得するという条件の下、快く引き受けて下さいました。もちろんスワップ後はきちんと仕事をサボって管理人の手で公認を取得しました。

 エンジンスワップは同系車のため比較的簡単なように思われますが、実際にはキャブからインジェクションに伴うハーネス類の総移植など、かなり難易度は高い&面倒です。特にラジエーターはエンジンルームのスペース上EK10マーチ(&フィガロ)の物が入らず、またPAOの物もターボチャージャーのレイアウト上使うことができません。悩んだ末にラジエーターはワンオフで作ることにしました。スペース上どうしても容量が小さくなってしまう問題はマーチスーパーターボのAT用2段切替電動ファンを取り付けることで解決(?)。エアコンの配管も問題で、配管、リキッドタンクなどを加工しなければなりませんでした。その他、ステアリング関係やハザードスイッチ、メーターを動かすためのレギュレーターなど、細かなところも工夫が必要でした。管理人の場合は運良くディーラーで(しかも安く)引き受けてもらえましたが、このような商売にならない面倒な作業を仕事として引き受けてくれるというのは稀なことではないでしょうか?
 これまで、正規ディーラーではマニュアル通りの修理しかしてもらえないものかと思っていましたが、意外にも融通が利き、また技術レベルも高いことを知りました。作業後もこちらが予想していた「大変だった」とか「もうやりたくない」などの愚痴は一切なく、あたかも通常の車検でも終わったかのように涼しい顔で「○○様、作業が完了しました」と告げられたのにはさすがに驚きました(笑)

 スーパーチャージャーのせいでパワステが装着できない(その代わりステアリングインフォメーションは抜群!? ただしジムカーナなどを楽しむと翌日筋肉痛になります)、全開踏むとすぐオーバーヒートする(夏場は注意!)、エンジンが重くなりハンドリングが若干スポイルされるなど、いくつかの欠点もありますが、意外なことにMA10Sより燃費は良く、排気ガスもクリーン。また豊かな低速トルクで猛然とダッシュする反面、-5℃でも一発始動&安定と、まさしく現代の性能を手に入れたパイクカーとなりました。
 肝心の”速さ”はというと、3速AT+PAOのボディとトランクに積んだオーディオとエアサスが重いこともあって、マーチRや最新の超ハイパワー車にはとても敵いませんが、本気を出すとPAOとしては異常な加速をします。アクセルONでカチッという電磁クラッチの作動音とともにスーパーチャージャーがON! エアクリーナーをキノコタイプに変えているため、強烈なシュゴーッという吸気音とともに、スーパーチャージャーのモ〜という作動音を響かせながらトルクが湧き上がります。4000rpmを超えたところでスーパーチャージャーの仕事は終わり、ここからはいよいよターボチャージャーが本領を発揮。更に高鳴る吸気音とともに一段と加速を強めます。ATであることもあって、一切の煩わしさはなく、アクセルを踏み続ければ一気にPAOの大きなスピードメーターを振り切ります。決して、現代の高性能NAエンジンのような滑らかな加速ではありませんが、化学調味料がたっぷりと入った少し複雑な味もまた格別な面白さがあります。最高速は空気抵抗が大きすぎるボディのお陰で伸びませんが、それでも自作ECUにて辛うじて200km/hを超える202km/h(7200rpm)を記録しました。
 冷静に見ると、明らかにシャシがエンジンに負けている状態で、加速時のトルクステアなどは結構危険な部類かもしれません。しかし、普通に走る分にはパワーにゆとりのあるエンジン、視界のよいコンパクトなボディ、自作エアサスor車高調による低い重心と抜群の安定性等の相乗効果で、特にロングドライブはとても快適になり、また時には隠れたジャジャ馬ぶりを存分に味わうことも出来るという1粒で2度おいしい車になりました。

 維持費については、さすがは日本を代表するコンパクトカー「マーチ」がベースなだけあって、割り増しとなる税金を除いては今のところは自動車としては最小限のレベルで済んでいます。現代の軽自動車ほどの重量であることもあって燃費のほうは、ラリー用のエンジン+古い3AT+空力の悪いPAOのボディ+17インチタイヤ&その他満載 という最悪な条件でも、市街地11〜13km/L、郊外13〜15km/Lとすこぶる良好です。ただし、空気抵抗と3ATがもろに効いてか、高速道路では8〜9km/Lと逆に落ち込みます。(100kmでゆっくり流せば13km/L位は走るらしいですが、管理人はペースが速いもので…)

 現在エンジンスワップから6年以上が経過し、車両の走行距離は20万キロ、エンジン自体の走行距離も10万キロとなりました。今のところ、ほとんどトラブルもなく、また老化も感じず好調ですが、もしもこのエンジンが寿命を迎えたら、レストアついでにEV化(電気自動車)かハイブリッド化してみようかと考えています。


現在のエンジンルームの様子です。
最初に断っておきますが、ここの管理人はかなりおバカなので、普通の人には理解し難い行動をとるようです。
パオになにやってんの?と言われてしまいそうですが、そんなこと承知の上でやっていますので暖かく見守ってて下さい(m。_。)m

ド派手なエンジンルーム

ステッカー貼りまくりで下品でド派手なエンジンルーム(^^;)

因みに管理人は2ちゃんねら〜ではありません
3層ラジエーター

エンジンスワップの時に苦労して作ってもらったラジエーターにクラックが入り、クーラントがダダ漏れしてしまったので、新たに作り直しました。
以前から冷却能力に不満があった(アクセル全開3分でオーバーヒート!)ので、今回は奮発して、銅3層ラジエーターを群馬県前橋市にある前橋ラヂエーターさんにワンオフで作ってもらいました。
これで夏場でも上り坂以外はエアコンONで走れるようになりました。

奥にあるシルバーのコアが新ラジエーター 手前の黒くて汚いコアはコンデンサーです。
半分は偶然でなんとも絶妙なレイアウトになりました
スケルトン(?)エアクリーナー+遮熱板

ractive製、ホンダ車用を加工(無理矢理とも言う)取り付け。
遮熱板はステンレス製(気休め程度)。
画像はセキュリティの関係上、一部モザイクがかかっていますが、ご了承下さい
ポリッシュインタークーラーカバー

夜な夜なポリッシュしました。
ここの管理人は決して暇な訳ではありません
カラードオルタネーター??

意味不明。
オーバーホールついでにやりました。
オルタネータ本体はエンジンに合わせて、EK10純正 三菱製の50Aのものを使用。
電装品フル使用だと少し容量不足気味
クロームオイルキャップ

何故かホンダ純正(インテグラ・シビック タイプR用)
フロントパイプ

スピリットレーシングコブラ製の半オーダーメイド(?)を装着。
フロントパイプ部分に純正には無い振動吸収の為のジャバラが設けてあるので、ステアリングなどに伝わってくる振動がすっかり消えてとても快適です。
マフラー

同じくスピリットレーシングコブラ製の半オーダーメイド(?)を装着。
メイン50φ、テール76φ・左右W出し(左側はダミーよん)、フルストレート構造、触媒付き、車検非対応というスペックになりました。
ちょっと迫力ありすぎるので、テール60φ位にしとけばよかったかも…。
ついでにマフラーブッシュをフル強化しました。


⇒寿命のため取り外しました
インナーサイレンサー

↑では静かなマフラーを買った!とありますが、
あれから1年が過ぎ、あれは夢だったの?って言うくらい日に日に爆音化していったのであります。
悲しいかな、社外品故の吸音材の品質の低さが露呈したのでありましょう。
で、インナーサイレンサーを入れてみました。
まるで1年前に戻ったかのような静粛性を取り戻しました。めでたしめでたし。(排気抵抗は…? しらない)


⇒取り外しました
Newマフラー

上記のマフラーが錆びてしまったので、ステンレスで作り直し。
従前品キャリーオーバーでメイン50φ、左右W出し(左側はやっぱりダミーよん)、フルストレート構造、触媒付きとなりました。
今回からは出口形状が気分に合わせて変えられるよう、テールφ50にサイズダウン。純正風オーバル形状のマフラーカッターを取り付け。排気音圧の測定も行い保安基準に適合できることを確認しました
オリジナル爆速(?)コンピューター

マニアックな世界ですが、この時代の日産車は普通のEP-ROMを使用しているので、内容を簡単に変更することができます。MA09ERTの場合、もともと純正で6種類のECU(正確にはECCSコントロールユニットと言います)があるのですが、スーパーターボ用とR用では内容が全く別物で、同じエンジンにもかかわらず実測で30馬力近く違うとも聞いたことがあります。
そこで、R前期用をベースに燃料マップと点火マップ、レブリミット、スピードリミットを変更してみました。ROMは28ピンのEP-ROM 27C128を使用し、今後簡単に交換できるようにレバー式のソケットを取り付けました。

結果は下から上まで、今までのはなんだったの?っていう位力強くなっていました。本来のスーパーターボエンジンの実力に戻ったということでしょうか??
電動ファンコントローラー PIVOT FCG

純正ファンの始動温度が高すぎるので、コントローラーを導入。
純正と同じく温度によってシーケンシャル制御するようにしました。
パオやマーチはこの機種の適合車種にありませんが、リレー等を組んで配線してやれば殆どの車種に使用できます。
因みに、純正だと低速が実測98℃、高速がノッキングが起こる実測108℃位で回転します。
(カタログ上では低速90℃、高速100℃と記載されていますが、これは電動ファンセンサーのあるラジエターロアタンク部の温度ですので、エンジン内部は相当な温度になっているものと思われます。)
ブーストコントローラー A'PEXi 旧AVC-R

ターボ車の必需品? ブーコン。
旧モデルのAVC-Rですが、ソレノイドが小さく、ブーストも安定していていい感じです。
普段はノーマル、ブーストアップ時1.2kgf/cuで設定。
おまけで過給圧とインジェクター開度が表示できます
アース線追加 (アーシング?)

これ、何故か流行ってますね?

なんで自分がやってるのか… 激しく謎です



〜PAOにMA09ERTが載るまで♪〜

こちらが、部品取りの為だけに購入したドナー車、マーチ君。(中古)
型式E-EK10 マーチ スーパーターボ。平成3年11月登録の最終モデル。女性ワンオーナーのAT車。
ビックリしちゃう位の超超超極上車です。最初見たときは新車かと思いました。(いや、マジで)
内装に保護ビニールやコーションタグが残っている中古車ははじめてみました。まるで新古車。
おそらく現存する(もう解体しちゃったけど)マーチ・スーパーターボの中で5本の指に入るのではないでしょうか?
走行距離はたったの22,000q!(500q程管理人が購入後に乗りました。)
大量の記録簿によると、前オーナーは9年間(22,000q)の間、半年毎に定期点検を受けていたようです。(過剰整備かと…)
自分でやっといて言うのもなんですが、勿体無い。
哀れドンガラ状態のマーチ君。
この時点で内装なんてゴミ箱状態になってます。

合掌
パオもドンガラ。
何故か目とまつ毛だけが残っていて気持ちワルイ
内装もこの通り。
エンジンスワップですが、キャブ⇒インジェクションなので、ハーネス全交換です(←実はこれが一番大変)
パオに載ってた旧エンジン MA10S。
この時点で走行距離 約13万q
マーチに載っていた新エンジン MA09ERT
誠にすみません。載せ換え途中の写真はありません。(デジカメが故障)

で、あっという間(実はこの間3ヶ月)にスワップ完了。
この時点ではワンオフのラジエータ(後日破損)も純正エアクリ(後日変更)もバッテリー(後日移動)もなんとか収まっています
上置インタークーラーのお陰でボンネットが閉まりません(汗)。

隣りに写ってるのは以前に所有していたBe-1です
で、閉まらないと困るのでマーチのエアダクト(?)を加工して取り付けました。
親戚の 島板金塗装工業さん にお願いしました。
本当はこんなの付けたくなかったけど、こうなったら仕方ありません( p_q)

 ⇒その後、ボディレストアの際に、エアスクープとボンネットを一体化して作り直しました Bodyのページを参照してください

で、エンジンスワップの次は
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 以上、個人的な感想を含め、MA09エンジンスワップ後の感想を書いてみましたが、当サイトでは、エンジン換装をはじめとする改造等を推奨している訳では決してございません。(本当はむしろ大反対です) 完全自己責任。何があっても文句は言わない。 それでもやりたいという方はご自由に^^;



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